絵画好きになったきっかけは “ぽっこりお腹” のヴィーナス

「教科書で見たよね」
「サイゼリヤにあるやつ!」
誰もが一度は目にしたことのある、あまりに有名なボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》。私が絵画好きになったのはこの絵がきっかけです。2009年に友人とイタリアを旅した際に、フィレンツェのウフィッツィ美術館にて “本物” と出会いました。
「うわ〜! すごいっ!」
ヴィーナスの姿が目に飛び込んできた瞬間、思わず声を上げたのを覚えています。高さは172センチほど。幅は2メートルを超える大作。教科書で見ていた時はたった数センチの世界であったものが、視界をふさぐほどの大きさで現れたのです。本物に触れることの素晴らしさを知った瞬間でした。
“ぽっこりお腹” のヴィーナスたち
ところで、絵画に描かれる女神(裸婦)は、どれも “ぽっこりお腹” であることにお気づきでしょうか? ボッティチェリの《ヴィーナスの誕生》はもちろんのこと、ティツィアーノの《ウルビーノのヴィーナス》もレンブラントの《ダナエ》も、下腹部に脂肪という名の貫禄が……。


19世紀に入るまで現実の女性の裸を描くことはタブーでした。そのため、19世紀以前に描かれている裸婦は、すべて神話の女神とされています。
「もしかして、少しぐらいお腹にお肉が乗っている方が美しいのか?」なんて自分を慰めてみるものの……。そんなワケないか。我々は女神ではなく、人間だものね。
※画像はパブリックドメインです。